―工学部に進学しようと思ったキッカケは?

【梶原】 高校時代に都市計画に興味を持つようになり、都市計画ができる大学を探していて、長崎大学のオープンキャンパスに参加したことがキッカケです。そこで都市計画に関する色んな研究をしている先生がいらっしゃったので、長崎大学の工学部を志しました。その頃に、あるテレビ番組でブラジルのクリチバっていう場所の都市計画を行った中村ひとしさんという方がテレビに出ているのを見て、自分もそういうことをやってみたいなと思うようになりました。
【玉城】 元々建物が好きで、建築士になりたいという気持ちがあったので、建築士になれる学科を探していて、長崎大学に入学しました。身近に建築士の方がいたわけではないんですけれど、昔からモデルハウスとか見るのが大好きだったので、一人で見にいったりしてました。友達にも何人か建築や家具が好きな子がいたので、一緒に行くこともありました。あとは高校生の時にインターンシップという形で家具屋さんに行きました。そこでやはり面白いなと思い、モノ作りをする側に携わりたいなと思って,長崎大学工学部に入学しました。
【吉富】 私は高校で物理を好きになって、物理の中でも特に電気を好きになったので、大学は電気の方に進もうかなと。初めは、電気のことが難しくて分からなかったのですが、先生によく聞きにいっているうちにだんだん分かるようになって「楽しい!」と思えるようになりました。
【田中】 私も高校で化学が好きになりました。高校ではほとんど実験することがなくて、座学の勉強ばかりだったので大学に入ったらモノを作ることや自分で実験をしたかったのがありました。
【岸川】 私も高校の時に物理や数学が好きで、「ウェーブマシン」という波の形を物体として見れるマシンを授業で見て感動して。それとロボットも好きで。本当は動かない物体なのに、自立して動いているということに感動し、ロボットには色んな可能性が出てくるので、大学でも機械科を専攻して工学部に入学しました。ロボットを作りたいんです。
【田口】 私は兄がゲームを作る会社に就職していて、兄の影響でゲームを作ってみたいと思ったのがきっかけです。自分もゲームが好きだったので、そういうのに携われたらなと思ってました。


―入学前は工学部に対してどんなイメージを持っていましたか。

【玉城】 私のコースには女性が1人とか2人しかいないのかな、と思っていたのですが、入学してみたら40人中9人が女性で、しかも気の合う人が多かったので、楽しかったです。男子ばっかり、という感じでもなかったですね。
【吉富】 私のコースは逆に、80人のうち女性が2人で、最初はびっくりしました。前期日程の入学試験に受かったのが女子が私1人だったのですが、後期日程でもう1人受かってくれただけでもありがたいなと思いました。(笑)


―女子が少ないことで、大変なことや変に気を遣ってしまうことなどは日常の学校生活の中でありますか?

【田口】 トイレが少ないことが大変ですね。初めの頃は、トイレを探す作業から始まりました。どこかな〜って。
【岸川】 授業中に男子の背が高いから黒板が見えなかったりなど、そういうことはありますね。
【田口】 一番前に座らないと見えないですが、あまり前にも座りたくないですしね(笑)。でも、女性が少ない分、先生には覚えてもらいやすい、ということはありますね。質問とかもしやすいです。


―どんな研究をしていますか?

【梶原】 私が研究しているのは「岩盤工学」という分野で、地盤環境研究室で地盤関係の研究をしています。地層の中の岩盤に亀裂が存在していると、それによって上から入って来た汚染水がどれくらいのスピードで地下水にたどり着いて汚染が広まってしまうのか、といったようなことを研究をしています。
入学の理由は都市計画でしたが、実際に授業で構造力学や地盤工学を学んでいく内に、土木というのは全ての基盤になっていることが分かり、都市計画よりももっと基礎を作るところから学んでいきたいと思って今の研究室に所属することになりました。
【玉城】

私は、橋梁など都市のインフラを安全に使っていくための、維持管理について研究しています。

【吉富】 私はパワーエレクトロニクス研究室でモーターの制御を勉強をして、卒業研究では小型モーターの開発に携わっています。
【田中】 私は、ウレタンという素材に、全く異なる高分子を組み合わせて、元のウレタンとは違った、新しい性質を持った素材を生み出すことができないか、というようなことを研究をしています。
【岸川】 私はリハビリロボットの開発をしていて、脳卒中で体がマヒしてしまった方のためにリハビリを促進できるようなロボットの開発をしています。従来は強制的に機械で身体を動かすことでリハビリのお手伝いをしていたのですが、それだと患者さん自身のリハビリに繋がりません。患者さんが自分の意思で体を動かすお手伝いができるように、患者さんが発する「手を動かしたいという信号」を検出して電気信号に変え、機械が動くという仕組みを作っています。そうすると患者さんの意思で体を動かすことになるので、もっとリハビリをしたいというヤル気作りにもつながります。また、重度の患者さんの場合には、右手が動かない場合でも左手を動かせば、同じ動きができる、というような機械の開発をしています。
【田口】 私は三年生で、研究室に入ってないので一番漠然としているのですが、今の授業ではC言語を使って仮数計算のプログラムを作ったり、ハードウェアの仕組みについて学ぶ授業を選択して勉強しています。


―工学部の面白さを教えて下さい。

【梶原】 土木関係はまだまだ男性が多いですし、いわゆる3K(きつい・汚い・危険)のイメージがあると思うのですが、今は昔と比べたら安全面も非常に向上していますし、やはり土木がないと何も始まらない。東日本大震災があって、実際に現地へボランティアに行く機会があったのですが、やはり何をするにもインフラ整備が先決。実際に下水の話とかはみんながやりたくないことだと思うんですけれど、でも誰かがやらないといけなかったり、やってる人がいるから自分たちの生活が成り立っている。日本の水道で蛇口開けて、飲める水が出るっていうのはそういう人たちが頑張っているからであって、日本の土木技術は世界的にも優れていますし、それを学べていることは魅力に感じていますね。
【玉城】

長崎大学工学部の構造工学コースでは、造船であったり、航空、機械など、構造物全般を学べるんです。私は建築志望で入学しましたが、建築を知っていく上でも造船で使われている技術が何かしら関わってくることもあるので、幅広い分野で知識を身に付けることが出来るのはとても良かったなって思います。

【吉富】 電気は何を動かすにも必要な、生活に欠かせないものなので、電気に関わることでいろいろなことに携われる点がとてもいいなと思います。
【田中】 化学というのは、今はまだ存在しない物質を自分で作り出すことが可能で、誰も知らないことを自分が一番最初に発見できる可能性があるということが凄いことだと思います。それと私のイメージなのですが、土木は土木、電気は電気、建築は建築という風にある程度大きなジャンルがあると思うのですが、化学は電気の中でも化学を使っていたり、わりと広い分野で活かせるというのも魅力だと思っています。
【岸川】 機械工学コースでは、溶接をして物体をくっつけたり、金属を削ってモノを作ったり、パソコンでプログラミングして制御してエレベーターの仕組みを作ったりだとか、モノ作りが好きな人は大いに楽しめると思います。
【田口】 私はプログラミング系で、さっきから「ゲーム」のことしか言ってないんですけれども(笑)。実際プログラミングをしていたら、ゲームだけじゃなくて色々と応用が効くんですよね。例えば機械の操作だったり、機械の管理だったり、システムの管理、SECOMのようなものだったり、安全管理なども大体プログラミングでやっているので、結構幅広い分野で応用が効きます。入学してからでも、やりたいことを見つけられると思いますよ。


―女性ならではのエピソードなどはありますか。

【田口】 工学部というのは男子がする!というイメージあると思うのですが、実際入ってみたら自分の中では、男も女も関係なくて、自分の気持ち次第だと思います。どれだけやれるかというようなことや、計算の速さも、自分が気付こうとしてるから気付けるのであって、私は男だから女だからというのに差を感じていません。
【岸川】 大学三年生の時に、「機械(メカ)ガール部」という活動を友人と立ち上げて、中庭にツリーを作って点灯しました。それまで中庭には灯りがなくて、冬は暗くなるのが早いため、イルミネーションを作ろうと計画しました。ペットボトルをゴミ箱から集めたり、研究室を回って集めたりしながら、ツリーを製作。デコレーションして、冬の暗い間はずっと点灯していました。そういったところは、女性ならではの視点が取り入れられたかなと思います。
【梶原】 些細なことなんですけれど、実験を行う時に重いもの運ぶのは男性が持ってくれたりとかですかね。(笑)それと、女子会とかも年に1度くらいですが、1年生から院生までを含めて社会環境デザイン工学コースの女子だけで集まるといったこともあります。そういう女子会を開いて実際悩みを聞いたり、テストの話をしたり、男性の繋がりよりも、女子のタテのつながりが強いと思います。


―就職活動中という方はいらっしゃいますか?

【吉富】 私は終わりました。就職活動中も女性の人数が少なくて、良くも悪くも目立ってしまうんですよね。そこで人事の方にどういい印象を与えられるかということに気をつけました。女性の先輩が働いている企業では、セミナーとか女性交流会とかありました。


―将来どんな道を目指していきたいですか。

【田口】 私は、ゲームのプログラマーになりたくて、いま本格的なことなどは全然やっていませんが、言語のコマンドを覚えたりとか,基本的なことを頑張っています。自分が何をしたいのか、まだ漠然として固まっていませんが、基礎の部分をしっかりやって、将来ある程度応用が効くようなスキルを身に付けたいと思っています。
【岸川】 私は機械を制御して人の身近で役立てて、生活を支えられるようなロボットや制御する機械などを作りたいなと思っています。
【田中】 私は一言で言うと研究者です。IPS細胞の発見のような、あそこまで大きな発見というのは非常に厳しいと思うんですけれども、新しいものを作り出せるような研究をしていきたいと思っています。
【吉富】 私はエレベーターを作る製作所に就職が決まりました。エレベーター業界では、速さや長さなど、世界一を競う記録が色々とあるので、そういう「世界一」のエレベーターを作ることに携わりたいと思っています。
【玉城】 大きい目標として一級建築士になることが夢です。その上で東日本大震災のことを考えることもあって、やはり安全で安心して暮らせるような建物を作ることに携わりたいなと思っています。一般住宅だけではなく、人が暮らしていく上で必要な学校だったり、駅であったり、私たちが安全で安心して暮らせるような建物を作ることに携わっていきたいと思っています。
【梶原】

私は、将来的には土木技術者としてインフラを整備したり、いままでそこになかったものを作り上げることでその周辺に住む人たちに影響を及ぼしたり、もっと利便性が高くなって皆が生活しやすくなるような、そういうモノ作りの最前線に携わっていけたらいいなと思っています。そういう意味からは、整備が進んでいる日本よりも発展途上国に行って、日本の技術でその国が発展していけるようなお手伝いをしていきたいので色々と勉強しなくてはと思っています。



―工学部を目指す女子にアドバイスを。

【田口】 工学部と聞くと、情報だったらパソコンをカタカタするものだったりとか、土木だったら現場で作業したりとか、それぞれに偏ったイメージしかないかなぁ〜と思いますが、実際に入ってみたら、どのコースも幅広くまず基礎から固めていき、自分の可能性がどんどん広がっていくところだと思うので、まだ夢が固まっていないという高校生の皆さんも入学して自分のやりたいことを見つけていけるところだと思うので、ぜひ女性にも長崎大学工学部に来て欲しいです。
【岸川】 女性は少ないですが、先生も職員さんも事務の方も、とても女性に気配りしてくださいますし、就職でも女性を求めている会社は結構あるので、どんどん女性に入学してもらって、自分たちの良さを引き出しながら社会に貢献していって欲しいなと思います。
【吉富】 工学部は女性が少ないというイメージがあって不安に思っている皆さんもいると思うんですけれど、先生達や周りの人たちも優しくしてくれるので、環境を不安に思ってやりたいことをあきらめるのではなくて、本当にやりたいと思ったことに挑戦してください。
【玉城】 何かしらのモノ作りに関わることが出来て、それを使っている人たちから感謝される。それってすごく素敵なことだと思います。モノ作りに携わる上では男子、女子関係ないと思うので、その感動を味わってみたい方はぜひ工学部に!待ってます!
【梶原】 土木はカッコイイ!ということを知ってもらいたいです。企業も女性を増やそうとしているので、土木=男性の職業という先入観は捨てましょう。土木の中でもいろんな世界があるので、将来何がしたいか今は分からなくても、工学部に来てみればそこから色々見えてくると思います。先生方もとても協力してくれますし、女の子は大歓迎なので入学して下さい。
【田中】 化学の場合「競う相手は世界だ」と、よく先生に言われます。女性でも世界と戦える仕事ってカッコイイと思うので、女性でも出来るんだ!というようなところを見せましょう。まだまだ女性の研究者は少ないので、その数少ない女性の一人を目指しましょう。男女関係なく、自分が頑張りさえすれば世界でも戦っていけると思います!



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